*-- 読書感想文 --*

私は旅をする、本という名の世界のなかを・・・。



仔犬のローヴァーの冒険  2005/07/09(土)
ロッタちゃんのひっこし  2005/07/04(月)
ほらふき男爵の冒険  2005/07/01(金)
みつばちマーヤの冒険  2005/06/07(火)




仔犬のローヴァーの冒険

J・R・R・トールキン=著 山本史郎=訳 / 原書房

仔犬が主人公のトールキンの冒険物語。

ローヴァーという名前の本物の仔犬が、魔法によっておもちゃの犬に変えられ、この魔法をかけた魔法使いを探しながら、カモメや竜や鯨、月の男や海の王者と出会いながら奇想天外な冒険をし、再び本物の犬に戻る、というお話です。

トールキンは「指輪物語」や「ホビットの冒険」などで有名な作家ですが、この「仔犬のローヴァーの冒険」は、前に挙げた2作品に比べると詩的な雰囲気の強い作品です。
おもちゃに姿を変えられたローヴァーが旅をする、月の世界や海の世界は、静かで厳かで、とても神秘的な世界です。
そして、月にも海にもローヴァーのような犬が暮らしており、名前も同じ「ローヴァー」といいます。後からやって来たおもちゃ犬のローヴァーは(同じ場所で二匹ともローヴァーでは困るので)“でたらめローヴァー(冒険家)”という意味の「ロヴァランダム」という名前で呼ばれることになります。
私としては、後者の「ロヴァランダム」という名前の方が好きですけどね。(ローヴァーはきっと嫌がるとは思いますが。)

トールキンの作品にはよく竜が登場しますが、この物語では、竜退治といった冒険活劇というよりは、不思議な世界を旅する物語といったカンジです。
本来この物語は、トールキンの息子が、大切にしていたお気に入りの犬のおもちゃをなくしてしまったのをなぐさめ、気を紛らわせるために即興で作られたお話が元になっているそうです。だからか、作品全体に優しい空気があふれているような気がします。

一風変わった、個性的な魔法使い達もたくさん登場する、「仔犬のローヴァーの冒険」。
夏の夜、涼みながら読書してみるのはいかかでしょう?
もしかしたら、夢の中でローヴァーが旅した世界で私達も遊べるかもしれませんよ。
Date: 2005/07/09(土) No.25


ロッタちゃんのひっこし

リンドグレーン=著 山室静=訳 / 偕成社

ロッタちゃんは、三人きょうだいの末っ子のあまえんぼう。
ある朝、いやな夢をみたロッタは、ママにやつあたりしたあげく、お隣の物置きにひとりでひっこしてしまいます・・・。(本書表紙折り返し、あらすじより)

とっても可愛いお話です。

幼児特有のワガママさや、移り気さ、頑固さなどがよく書かれていますし、それを見つめるパパやママ、お隣のおばさんなどの温かさと優しさ、そして何より、小さな子供に対しても、一人の人間としてきちんと接しているのが心地よい作品です。

5歳になったばかりのロッタはある朝、ロッタが大事にしている、ピンクのぶたのぬいぐるみのバムセ(ロッタはくまのぬいぐるみだと思っているようですが)を兄のヨナスと姉のマリヤがぶっている夢をみます。夢と現実の区別がつかないロッタはママにやつあたりしたあげく、「みんなが、あたいにいじわるするんだ!」とこっそりお隣の物置にひっこしをしてしまいます。
怒りに任せて、ママが着なさいと言ったセーターもハサミで切り刻んでしまったロッタですが、本当は自分がいけないことをしたのもちゃんとわかっていますし、自分で切ってしまったセーターを見て恐ろしくなってしまったりもします。

パパもママもロッタがひっこしをしたのを知って、「ロッタがいないと寂しいからお家に帰ってきて欲しい」と言いますが、すっかり新しいお部屋が気に入ったロッタはずっとここで一人で暮らすと言って聞きません。パパとママはロッタの気の済むようにさせてあげます。昼間のうちは楽しかったひっこしですが、夕方になって暗くなると急に一人ぼっちが怖くて寂しくなるロッタ。しまいには大声で泣き出してしまいます。
すると、物置の外からパパの声がしました。「ママがとても悲しがっているから、もう一度うちへひっこすとしないか?」。

心の奥の方がじんわりと暖かくなっていくような、そんなお話。
私の大好きな本の中の1冊です。
Date: 2005/07/04(月) No.24


ほらふき男爵の冒険

ビュルガー=編 新井皓士=訳 / 岩波文庫

ほんと、とんでもねぇよ、このオッサン。笑

ないことないことペラペラと吹きまくる、ミュンヒハウゼン男爵の奇想天外な冒険談に、「ンなコトあるわけないだろっ!」と突っ込みながらも、思わず笑ってしまう。
「教会の塔から馬を撃ちおとす話」とか「五人の抜群の家来の話」などが有名なほら話でしょうかね?あと、「ミルクの海にうかぶチーズの島の話」も子供のころ聞いた覚えがあります。

ところで、「ほらふき男爵」には、イギリス系の「マンチョーゼン」と、ドイツ系の「ミュンヒハウゼン」の2つのルーツがあるそうです。
(今回私が読んだのは、「ミュンヒハウゼン男爵」の冒険談です。)
この2人のほら話は同じ系統上にあって進化の度合いを少しく異にしているようですので、マンチョーゼン男爵とミュンヒハウゼン男爵、それぞれの話を読み比べてみるのも面白そうですね。
ちなみに、ミュンヒハウゼン男爵(ヒエロニュムス・カール・フリードリヒ・フォン・ミュンヒハウゼン)は実在の人物で1720年5月11日に生まれ、1797年2月22日に他界しました。ウェーゼル河畔のボーデンヴェルダーという所に領地をもった貴族で、相当由緒ある一門の出だそうです。本書巻末の訳者の解説には、ミュンヒハウゼン男爵についてもっと詳しく書かれていますよ。


ご存じほらふき男爵が語る奇想天外な冒険談。狩やいくさの話はもちろん、水陸の旅に、月旅行から地底旅行まで、男爵が吹きまくるご自慢の手柄話に、あなたもむつかしい顔はやめて、ひとときの間、耳を傾けられてはいかが?(本書表紙折り返し、あらすじより)
Date: 2005/07/01(金) No.21


みつばちマーヤの冒険

ワルデマル・ボンゼルス=著 高橋健二=訳 / 国土社

マーヤは好奇心旺盛な、みつばちの女の子。
蜜を集める仕事をするために、生まれて初めて外の世界に飛び出したマーヤは、世界のあまりの美しさに心を奪われ、そのまま冒険の旅に出かけてしまいます。
いろいろな虫たちと出会い、さまざまな事を見聞きし、美しい世界の中で生きることを満喫するマーヤでしたが、ある日、恐ろしい出来事に巻き込まれてしまい・・・。

テレビアニメでもお馴染みのマーヤの物語です。
テレビのマーヤもこんな話だったっけ?と思いつつ読みました。あまりテレビのお話の筋を覚えていないもので。
とにかく、「生きる」という喜びに満ち溢れた物語ですね。
生まれてきたこと、今、生きていることを喜ぶ。生きている意味なんて、ややこしい事は一切抜きにして、ただ生きていることを喜ぶ。そんなお話でした。

「みじかい旅のあいだにもう、彼女はどんなにいろいろなことを見たり経験したりしたことでしょう。ほかのものたちは一生かかっても、そういうことをいくらも知らないでしょう。経験というものは、なんといっても人生の最高の宝で、犠牲をはらう値打ちがある、とマーヤは考えました。」
マーヤも良いことや悪いこと、そして危険なこともたくさん経験して成長していきます。
嫌なことや辛いことは経験したくないけれど、それも含め、「経験する」ってことはとても必要なことなんだなぁ。

読みながら感じたのは、文章のリズム感がちょっと私と合わないようで。
どうも、スラスラと読めないんですよね。厚い本というわけでもないのに、読むのに時間がかかってしまいました。
けっこう、この“リズム感”ってのが重要で、この相性が合わないと、読むのに時間かかる割には頭に入っていかなくて困ります。
逆に相性がいいと、興味の無い文章でもスイスイ〜ッと読めちゃうんですよね。
そういうことって、ありません?
Date: 2005/06/07(火) No.18



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