1992年「人間交差点 不良」原作/矢島正雄.弘兼憲史 監督/高橋伴明 キャスト 志村東吾 森崎めぐみ 白竜 中西良太 山口美也子 野川由美子
制作する小道具の納期が二週間もないのに、再三にわたる打ち合わせを阿佐ヶ谷駅前の喫茶店アコヒーダでおこない、それでもまだ制作条件の詳細が決定にならずにいた。バット10本、木刀10本の制作日数は10日を切っていた。 バット、木刀制作には渋谷東急ハンズで大量に購入した厚切りのバルサ材を使った。店の棚はからになった。このとき制作費として渡されたのは五万円で材料費込みであった。つまり一本あたりの単価は2500円で材料費の一万円強をひくと単価は2000円弱になってしまう。すべての作業を7日間でやったとして1日あたり5700円ほどの日当でよい仕事ではなかった。 連日徹夜のような状態で造ったバット、木刀は殺陣のような乱闘シーンの撮影で使う予定で軟らかいバルサ材のなかに硬い木材を芯として入れ頭や体のあたる部分で折れるように工夫がしてあった。 併し、実際撮影現場では苦心のバット、木刀は握っていた手元からぼっきりと折れてしまい格好いい絵は撮れなかったようであった。 (制作年月日1992年7月27日)
1992年「人間交差点 道」原作/矢島正雄.弘兼憲史 監督/磯村一路 キャスト 坂上忍 斉藤晴彦 網浜直子 真行寺君枝
大理石で出来た丸く大きな重量のある灰皿の偽物をつくった。この仕事は本物の灰皿の差し替え(偽物)を合成樹脂でつくる仕事で、しかもバット、木刀と抱き合わせの無報酬の仕事であった。気持ちの入らない仕事であったので出来上がった灰皿はひどいものであった。 (制作年月日1992年7月27日)
1992年「200X年・翔」原作/牧奈一慶 監督/秋山豊 キャスト 風見しんご 竹本りえ 堂本光一 堂本剛 野川由美子 宍戸錠 ダチョウ倶楽部
撮影のロケ現場にJR中央線の阿佐ヶ谷、高円寺間の高架下が使われている。 この映画では、私は鎌2本、鉈2本、笛2つを制作した。この仕事はわりあい苦労もなくうまく出来た。制作報酬はあいかわらず安価で、すべてを造って材料費、送料、交通費などを含めて6万円であった。 鎌は少年の日の堂本剛氏が劇中で振り回して熱演している。鉈は風見しんご氏が手にしていた。鎌鉈ともに刃の部分が薄ベニヤ板にアルミ箔を貼りよごしをつけて古色をつけていた。 また笛は外国人女性のデザインによるエキセントリックなもので形状が珍妙であったのでいたずらのオモチャのようになってしまい造りの精度を高めるために笛の口のところをアルミの塊から削りだしてつけたりした。この笛は劇中、女の子が首から紐をつけさげていて、パパの外国土産と言って笛を吹くのであったが音のでるようには造っていなかった。併し、役者のひとたちは美しい音が鳴って聴きほれているようにしているので凄いと思った。 この映画では小道具制作者として私の名前も出ている。 (制作年月日1992年7月27日)
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Date: 2006/09/07(木)
No.1
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