天神de界わい能
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能「松風」
恋物語を描いた玄人の能を観賞するのは久しぶりでした。最近、勢いのある五番目ものばかりを見ていたので、自分の能に対するイメージを一気に引き戻してくれた、そんな気がしました。
松風、村雨の悲哀を描いた能「松風」を美しく語りかけようとする、演者全員の美意識が舞台から伝わってきたように思います。
中ノ舞では、いつもは意識が現実に戻ってしまいます。というのは、小鼓の手も舞の所作もすべて知っているので、おそらく脳の違う部分が働いて、ただの身体運動とでしか捉えられないからでしょう。 しかし今回の中ノ舞は、物語の一部として松風が舞う姿を見ることができたように思えます。
能の所作は、「風体」つまり自然体であるといわれます。能の構成は、必然であり、中ノ舞は松風の思いを表現した必然的な舞であるはずです。歌舞劇には脚本、台本があるのでそれらを自然に見せることは至難の業だと思います。恣意的になってはいけないのです。
風体と美意識を感じることのできた舞台でした。
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Date: 2006/11/03(金)
No.39
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